「いのちは贈りもの:ホロコーストを生きのびて」書籍情報
対象
高校生
出版社
岩崎書店
著者名
フランシーヌ・クリストフ(Francine Christophe)
著者情報
フランシーヌ・クリストフは、1933年フランス生まれ。フランスの作家、詩人。
翻訳者
河野万里子
絵
―
本体価格(税別)
1,600円
ページ数
384ページ
ISBN10
4265860184
ISBN13
978-4-265-86018-0
「いのちは贈りもの:ホロコーストを生きのびて」あらすじ
筆者であるフランシーン・クリストフが6歳だった1939年から12歳になる1945年までフランス在住のユダヤ人というだけで、母とともにナチスドイツに連行され収容所に収監されてしまいます。
父は軍人で戦争捕虜となり離れ離れの生活ではありましたが、戦争捕虜の家族はジュネーブ条約に守られていたため、拷問などを受けず、他のユダヤ人とは少しだけではあるがマシな生活が送れました。筆者が収監されてから解放されるまでの6年間、離れた父を思い解放されることだけを祈って母と共に過ごした戦争体験を綴った作品です。
ユダヤ人ーナチスドイツ、と聞くと重苦しい作品で読むことすら憚られるものですが、明るく希望を持った作者の気持ちが文章に表れており、確かに残酷なシーンもあるものの読みやすい作品といえるかと思います。
「いのちは贈りもの:ホロコーストを生きのびて」読書感想文の書き方指針
作者は作品の冒頭で、『これは「文学」ではない』と言っていますが、あくまで日記という形式なので「文学」として読みたい方は別の作品をあたったほうが良いと思います。300ページ程あり、ボリュームはありますが日記形式で文章も短文のものが多いため、非常に読みやすく、速い人なら3~4時間で読み終えられる作品です。
登場人物がかなり多いですが、所々にしか登場しない人が大半ですので、誰だったか?とあまり思い返す必要はありません。
ユダヤ人は戦争中ひどい扱いを受けてきたと思われがちですが、中にも筆者のようにドイツ人からも優しくされたりするようなこともあったのだとわかり、歴史的な観点からすると新たな発見と驚きがありすべての人が読むべき作品だと感じました。
いろんなシーンがありますので、読書感想文として書くポイントは各所にあるのですが、
- なぜ作者の家族はドイツに送られることなく、はじめフランスにとどまることができたのか(父が戦争捕虜だとなぜそうなるのか)を説明する
- 2度目にドランシーに収容された時、作者は「自分の歳を忘れてしまった」と考えているが、そのように至った背景について触れる
- 収容所で2人の女性が悲惨な瀕死の状態で、皆が助けようとしたが、この2人の女性を作者は「生きるのをやめてしまった」と表現している。また「生き残るには何としても生き延びようと思わなくてはならない」というその後の一文から感じたことを書く
- 作者はなぜ解放後、安定した生活に戻ったものの、親しい友人とは自分は別の世界に生きていると感じ、その友人たちのすべてが幼稚っぽいと感じているが、なぜそのように感じたのか考えてみる
このような場面について書いてみたはどうかと考えてみました。
この作品は「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」にも選ばれていますので安心して読書感想を書く対象として設定できます。